今日放送がある訳です。
これ見てからこの三連休中に内容について書いてみます。
概要
さて前項で書かせていただきましたこの件ですね。
「この白鳥の歌、この次の権力の墓穴”A Friend in Deed”が実は同一テーマを扱っている点です。」
前回と同じ文章になりますが、本稿にて詳しく見ていきましょう。
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あらすじ
犯人は資産家なのかな?コードウェル氏です、彼は喧嘩が元で奥さんを誤って殺害してしまいました。
この件を事実上自首した形ですが、近所に住んでいる友人のハルプリンに告白します。
ハルプリンはLA市警の次長即ち警察所属で彼に殺害を告白した訳です。
さて一緒にLA市警に出向くか?というと、次長はあろうことか殺害の隠蔽を持ちかけます。
そこに次長は現場にコロンボ警部を呼ぶのですが、今回の警部が摘発せねばならない相手がなんと警部自身の上司、同じ警察官となってしまった訳ですが、さてその後その友人のハルプリンの行動は?
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この俳優さんが凄い
MVP
本作で一番良いのはアーティー役のヴァル・エイブリーさんですね。
黒のエチュード”Etude in Black”で犯人役を演じたジョン・カサベティスさんが監督された映画にも出演経験があり、このカサベティスさんとColombo役のビーター・フォークさんが親しい間柄でしたから、この辺にご縁があったのかなあ?
エイブリーさんなんとコロンボに4回ご出演なさってますが、その4回の中で一番活躍したのがこの回です。
また彼の台詞が私には「ルパン三世 カリオストロの城(私の考え・偽札捨てたのに原版をルパン三世が欲しがった理由)」の設定を見る上で参考になる人物だったと思ってます。
敢闘賞
私が今回マジでご紹介したいのはむしろこの方、ジョン・カルヴィンさんです。
中古車屋の店員さん役で、最初の被害者ジャニスから時計を貰った愛人役の人です。
彼はコロンボ警部にジャニス死亡時のアリバイを聞かれて回答した後、警部の後について行って警部の車を「80ドルでどう?」って食い下がるシーンがあります。
彼の出演シーンここしかないのですが、なんとか爪痕残そうとして頑張ってアドリブでこれ言ったんじゃないの?って前から私思ってるんですよ。
だって、コロンボ警部がちょっと楽しそうに笑ってるからです、このセリフ言われた直後。
こういうの「男はつらいよ」で渥美清さんがアドリブで面白いこと言っちゃった後みたいな感じです(あっちはおいちゃん、タコ社長、ひろしさんが本当に笑ちゃってますけど)
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この声優さんが凄い
探偵役で出た時はコロンボ警部に弱み握られて困り果てた私立探偵、今回はコロンボ警部に頼み事されて嫌がる前科者の役。
この後、バーテンダー役で出た時は元警官でコロンボ警部に質問された時に古巣で元プロだからってちょっと自慢げな感じとコロコロ変わる立場を好演された、金井大さんですね。
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それって私の感想ですよね(ネタバレ)
TBSドラマ「ずっとあなたが好きだった」に似た構成でスタート
このTBSのドラマは1992年のバブル崩壊期に製作されたものでテーマ的には東大卒で銀行員と金銭的背景は完璧な男性と結婚した女性でしたが、高校時代から好きだった人が忘れられず、しかも結婚したエリートサラリーマンは極度の変わり者だった。
さて、あなたの幸せって何?お金?それとも?
っていう内容になる筈だったのに、このエリートサラリーマン役の佐野史郎さんが怪演された変わり者のセンセーショナル感が大受けしてしまい、どうやらドラマの性格自体が変わっちゃったみたいなのですね。
だから主演の賀来千香子さんがめっちゃ綺麗なのにそこ完璧に忘れられて、日本全国では「佐野史郎さんの演じた冬彦さんのドラマ」と認識されています。
ちょっと他の俳優さんが気の毒だ(笑)
構造的には前年に放送されて社会現象になった「東京ラブストーリー」の構造に割と近くて、昔から好きだった人と結ばれるというところは同じでありながら東京ラブストーリーが悲劇だったのに対して、ずっとあなたが好きだったはハッピーエンドになる予定だったと思います、多分・・・。
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金袋を持ってしまった二人と不幸な結婚の話
資産を持っているのはおそらく奥さんを間違って殺してしまったヒュー・コールドウェルと、旦那さんに殺されることになるマーガレットですね、マーガレットさんが資産家で旦那のマーク・ハルプリン次長は資産家と結婚した男性っていう点は会話の中から見て間違いないと思います。
ヒュー・コールドウェルは奥さんに好かれてない
あくまで資産狙いだったんでしょうかね?
奥さんは旦那にもらったお金、それが貰えなくなると過去にもらった宝石を売ってお金を作り中古車販売店のチャーリー・シュープみたいな若い男性に貢いで浮気してたわけです。
奥さんはヒューと結婚したことで資金源を確保したので、次は恋人が欲しかったわけです。
お金と結婚したわけですから。
この結果、コールドウェル夫妻の不仲は周囲の人たちの間でも有名というわけです。
マーガレットは夫に寛容だった
マーガレットは夫の賭け事で失ったお金を支払うために小切手を切る(お金を支払うという意味)事に良くは思ってないものの、そこまで怒っている様子でもありません。
マーガレット夫人は夫のマークに寛容でした。
というか、彼女は前科者を支援する組織に資金提供し、殺害されたコールドウェル夫人の愛人問題などをコロンボ警部には話したがらず、かといって生前の夫人には親身になろうとして話をしようとはしたものの本人が拒否するとマーガレットはすぐに質問をやめ、関わろうとしませんでした。
マーガレットは夫に寛容なのではなく、全てに寛容で誠実であろうとする人でした。
だからマークとマーガレットの関係はマーガレットによって保たれ基本的には問題はなかったわけです。
ただ夫はマーガレットの資産を目当てに結婚しており、彼は自分が逮捕した犯人が出所後に妻のお金で暮らしていることに苛立っていました。
そして全てを自分のものにしようと妻を殺害します。
彼もまた妻を娶ったんじゃなくて、資金源と結婚していたのかもしれないですね。
マーガレットの活動
マーガレットは前科のある出所後の人物が生業につくまでの支援団体に資金を出していました。
社会活動をする立派な女性だったわけです。
マーガレットの活動からあぶれた人、それがアーティー
劇中ちゃんと相関が描かれてないのですが、実はマーガレットの活動範囲から外れたところにアーティーがいます。
彼は20歳の頃からほとんどの期間を刑務所で過ごし、出所してもやることは同じで犯罪者になり、逮捕され、また刑務所で過ごします。
彼は刑務所の中の方が友達も多いくらいだと自分でも語っています(強がってるだけかもですが)。
そんな調子ですから奥さんなんだか単に交際してるだけなのか、関係してる女性も居る(あのバーでローラーゲームに行きたいと言ってた、おそらくテルマって役名の女性で俳優さんは多分エレノア・ズィーさんです、残念ながら2024年に亡くなられています。この役名にラストネームがないので彼女との続柄がわからないのです)のですが、ほとんど刑務所にいるし外に出てきても短い期間しか一緒にいないからご機嫌も悪いってわけです。
関係がいいわけないですよね。
アーティーも生業につければ危険な窃盗からは足を洗えるかもしれませんが、そうはなってないし成りにくいのが現実です。
この辺はマーガレットのいう通り、前科のある人への支援は大事になってくると言えます。
マークとマーガレットの行き違い
マークは犯人を逮捕しますし身近に犯罪者と犯罪被害者を見ています。
彼等に支援するのはいいですが、じゃあ被害者感情はどうなるんだ?という点が引っかかってるかもしれません(ここは劇中書かれてないので推測です)。
また犯罪者に対する苛立ちも感じさせます、出所後の生活を支援していることを、支援してしまうから彼らは働かないのだと決めつけています。
しかし、アーティーを見てもわかりますがテルマ(?)からローラーゲームのチケットをせがまれたり、自身もバーでビールを飲むお金は必要です。
何か稼ぐ方法はないか?と見渡してみると、なかなかそこは難しいわけです。
一方、マーガレットの方から見ると夫のマークが逮捕しているは取り締まっているのだから良いことですが、その後のフォローがまるでありません。
一定期間拘留したらあとは放り出してしまうので仕事はないしお金は尽きるでまた再犯となるわけです。
そのロールモデルがアーティーという訳です。
白鳥の歌
ここで思い出して欲しいのが前作の「刑事コロンボ 白鳥の歌」です。
こちらの作品では歌手のトミーと結婚したエドナ夫人のの立ち位置を、この権力の墓穴に当てはめるとマーガレットがアーティーと結婚したような構図です。
エドナ夫人は手元に前科者のトミーを置いて監視し、導こうとさえしました。
彼の歌手活動を支援し上がった利益は宗教施設の建設費に当てようとします。
これが成功すればトミーは名実ともに更生し、反省し、素晴らしい行いをした人となって出所後の人々の希望になれるはずでした。
それこそコロンボ警部がいうような人になれたかもしれなかったわけです。
しかし実際はそうは行きませんでした。
その原因に関しては白鳥の歌の方に譲るとしまして・・・。
マーガレット夫人の墓穴
マーガレット夫人は一つだけミスをしました。
それは犯罪者と一緒に暮らしたことがない事です。
そして彼女は初めて犯罪者を迎え入れてしまいました、彼女が入浴している浴室に。
その犯罪者とは夫のマークでした。
エドナ夫人のように犯罪を悔い改める機会を一緒に行い、その難しさを見ている人と、マーガレット夫人のようにお金を出して後のことは任せている人の違いがそこにあります。
マーガレット夫人の行いは立派です。
しかし、人任せにしていてはいけないのではないでしょうか?
実際にその人たちがどんな様子で、どうなっているのか?
実際に見、行動しなければならない。
お金を出しておしまい。
行政に任せておしまい。
ではなく、そこはスタート地点なのではないでしょうか?
マークの墓穴
じゃあ夫の真の墓穴はどこでしょう?
簡単です。
彼はこの後、コロンボ警部に逮捕されて収監されます。
運よく出所できたとして、その後の生活をどうしていくのでしょう?
もしマーガレット夫人の支援した団体が彼のその後の面倒を見てくれればいいですけど。
多分、利用されたことを知っているので資産家のヒュー・コールドウェル氏は助けはしないでしょう。
あの時、彼をLAPDに連れて行っていれば・・・友人マークの行いが彼の墓穴を掘ったわけです。
マーガレット婦人も聖人には違いない
「お金は武器と同じ、正しく使いさえすれば社会を良くするわ」
夫人の生前の言葉でマークに向けられていますが、言葉自体の向き先は社会全体です。
彼女もまたエドナ夫人同様に聖人には違いありません。
しかし真の聖人は、おそらく夫人の死後現場に来ていた「8時からの夕食会に出て、(マーガレット夫人が)スピーチする予定だった」という「うちの会」を運営している現場のスタッフでしょう。
彼女たち、彼らたちこそが本当の聖人であり、社会を根底から支える人たちなのです。
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他人の権利を阻害するものは裁かれる
繰り返しになりますがこういう事です。
他人のBLOGや著作物から勝手に転用してる罪深き者もまた裁きを受けるだろう。
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見どころ(ネタバレ)
コロンボ警部と中古車販売店店員のやりとりですね。
是非、車を操作するコロンボ警部の表情をご覧ください。
