白鳥の歌 “Swan Song” – 刑事コロンボ(Columbo) トミー・ブラウンはせっかく光が見えたのに・・・

概要

大物カントリー歌手であるジョニー・キャッシュが同じく歌手のトミー・ブラウン役を演じている所ばかりがクローズアップされがちですが、

大事なことはそこじゃなく

この白鳥の歌、この次の権力の墓穴”A Friend in Deed”が実は同一テーマを扱っている点です。

本稿にて詳しく見ていきましょう。

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あらすじ

前科のあるトミー・ブラウンを刑務所から身元引受人となって救い出し、彼はその女性と結婚した。

しかしトミーは歌手として奥さんのサポートもあり成功したものの報酬は全て礼拝堂建設資金へと流れてしまう。

しかも500万ドルで礼拝堂を建設しようとしているが、まだ100万ドルしか用意できていない。

トミーは自分なしでは礼拝堂の建設資金は稼ぎ出せないことを盾に、奥さんと交渉しようとするが。

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この俳優さんが凄い

ジョニー・キャッシュさんは大御所らしいんですわ、すいません私カントリーわかんないもんで。

ただ以前渋谷のタワーレコードでも売り場では「ジョニー・キャッシュはどこのコーナーに行けばCD置いてありますか?」って聞かれたりするような方だったそうです。

そんな方がこんな悪人の役やって下さったわけで、そこは凄いって言っていいのではないかと思います。

またどうしてフライトを2時間遅らせるのか聞かれたときに、少し間が開くんですね。

あそこは殺害を決意したものの一息飲んで覚悟を決めるのに時間がかかってる。

トミー・ブラウンの殺害すべきかやめるべきかの迷いをうまく表現してたと思います。

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この声優さんが凄い

声優さんの一覧見てから考えます

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それって私の感想ですよね(ネタバレ)

トミー・ブラウンの夫人は本当に善人(この部分が権力の墓穴と対比をなすので是非よく読んでください、次回詳しく比較します)

これねえ、コロンボファンにマジでわかってほしい

この奥さんを悪妻だと思ってる人がやけに多いんですがそれは本当に酷いですよ

詳しく見ていきましょう

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礼拝堂建設が目的

この奥さんエドナ・ブラウンはトミー・ブラウンを脅してお金をむしり取ってるんじゃなくて、敬虔なクリスチャンがアメリカでも最高の礼拝堂を建設したくてお金を集めているだけです。

名誉欲も金銭欲もなく別に華美な生活をしたいわけでも、また贅沢をしているわけでもありません。

同じことをトミー・ブラウンにも求めているだけです。

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犯罪者を救い出し結婚した上に身元引受人にもなっている

エドナ夫人はトミーを救い出すだけではありません。

ちゃんと身近に置いて面倒を見るばかりか結婚までしてくれています。

例えば公設弁護人が犯罪者を救い出すことはできても一緒に生活までしてくれるわけではないし、そんなことはほぼ無理です、だって年間に何人も面倒見ますから。

このことは2003年放送のTHE O.C.でも公設弁護人のサンディーがライアンの担当をした時に、ライアン少年が境遇の問題で犯罪に手を染めているだけで、遺伝形質的には大変良いものを持っていること、その境遇で才能を発揮しきれていないことがサンディーの少年時代に重なってたまたま彼だけはサンディー自身が後見人になり一緒に生活するようになります。

ですがこれは稀なケースでサンディは弁護士としてその後も麻薬で逮捕された少年を救ったりしますが、同居までしたのは劇中でライアンだけです。

エドナ夫人も犯罪者と結婚し彼を引き受けその後の面倒を見、16歳の少女を性的暴行してしまった後も見捨てずにいると考えてみてください。

彼女は善人なのです。(ここが権力の墓穴とは対比を成しますので次回、権力の墓穴でこの部分との比較を見ていきましょう)

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メアリーアンは知らなかった

トミーに対して「(あの時は)16歳」だったと言うシーンでわかるのは、メアリーアンはトミーが性的な目的でホテルに連れ込んだのだと当時知らなかったことを意味していますよね。

傷付いたメアリーを伴ってトミーを罰しているのはそう言う意味です。

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トミーがレンタカーを飛行機の整備士に使わせようとするがエドナ夫人が止めた訳

これが特に酷いんですが、エドナ夫人はトミーがレンタカーを整備士に譲ろうとしてるのを止めてますが、これエドナ夫人がどれだけ礼拝堂のために節約しているかを表す2つ目のシーンです。

最初のシーンはトミーのセスナを買い替えない、車も買い与えないところでわかります。

そして次は、さらに節約に目を光らせているこのシーンです。

この当時のアメリカのレンタカーってある程度走ると距離で料金請求されちゃうらしいのですよ。

だからトミーが整備士に言ったことは「どうせ料金は同じだから」じゃなくて「料金はこっちで持つから車使っていいよ」と言ったことになるらしいんです。

夫人は500万ドルかかる礼拝堂の資金集めをしているのにまだ100万ドルしか集まってません。

まだ20%しか集まってないんです。

お金を切り詰めてなんとか礼拝堂を建設したい。

そういう彼女の思いをトミーが踏み躙ってるシーンでもあるのです。

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何故、白鳥の歌なのか?

今回、日本版のタイトルも原語のタイトルも同じ白鳥の歌です。

これ何故なのかっていうと最後の歌って意味だからです。

トミー・ブラウンは暗闇で光を見たと冒頭で歌います、コロンボ警部がヒットチャートで1位だって言ったあのゴスペルミュージックです。

刑務所から出て歌手として再出発し女の子は楽屋前でキスをせがみ、飛行機の整備士は会っただけでテンパるほどのトミーのファンです(これ吹替版だとわからないんですよねえ・・・今回ちょっと吹き替えというか音響が拾いきれてないんですよね、元のストーリーをフォローする音を)。

だけど、16歳の少女を性的暴行、奥さんを殺害し、殺害の前から別の女性に目をつけていた。

罪深き好色の魔の手が彼を滅ぼしてしまった訳ですね。

なので白鳥の歌すなわち最後の歌になっちゃった訳です。

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他人の権利を阻害するものは裁かれる

他人のBLOGや著作物から勝手に転用してる罪深き者もまた裁きを受けるだろう。

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LINK

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刑事コロンボ

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見どころ(ネタバレ)

飛行機整備士ジェフの笑っちゃうくらい酷い扱いと憎めないキャラ

セスナの整備をしてくれてる男が奥さんに挨拶もそこそこにトミーの所に走ってきて、いつまでも握手し続け手を離そうとしない所。

奥さんに酷いじゃないか(笑)

って思うけどそれくらいトミーが好きすぎる整備士の気持ちが現れてるコミカルなシーンだなあって思います。

彼、憎めないですよねえ。

ただ音声が残念なことになってて、実はこの時に整備士はすごい足音立てて大慌てで走ってきてるんですよ。

話し方もすごい緊張してて興奮気味にトミーの名前を何回も呼んだりする、あの感じが吹き替えで出てないのは残念だなあ。

声優さんちょっと抑えめに演技してくれって言われちゃったんだろうなあ。

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おバカ扱いにされちゃったルーク

演じた俳優さんには気の毒なんですがルークはバカな男役にされてますね。

フライトを2時間遅らせる嘘の理由をトミーが奥さんに言うんですが、その時にルークもそこに居るんですよね。

捜査が始まった時にそこも言うべきだったと思いますが彼はギターのことしか言わない。

コンサート前に注意事項をトミーに言われてるルークもなんか言われるがままでなんか要領をえない。

奥さんに何をネタにトミーを操ってるのか聞いてるけど、あれじゃ答えてくれる訳ないですよね。

🎩←テンガロンハットのアイコンなかったのでこれで・・・

飛行機の乾燥?

セスナで奥さんが頬やひたいに何か塗るような仕草するんですよ。

あれ乾燥を表してたのかなあ?

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最重要!!金属探知機に引っかかる理由

トミーが空港で金属探知機に引っかかるシーン。

あれは鍵の中にレンタカーの鍵があるのを見送り?に来たコロンボ警部に見られたくなくてポケットから鍵の束を出せなかったことが原因だと思います。

そして奥さんが生前決してトミーに車を買い与えなかったことがここで効いてきちゃった訳ですね。

もし車持ってたら空港に車を預けて自分の車の鍵が繋がった鍵の束なだけですから、あそこで金属探知機に引っかからないようにあらかじめ出すことだってできた訳です。

奥さんの礼拝堂を建てたいという敬虔な気持ちが、最後の最後でトミーを追い込んでしまった訳です。

(好色なんで車なんか買っても女の子をリアシートに連れ込んじゃうと奥さんは思ったって言うのもあります)

まさに「主のなさることは神秘に満ちている」(奥さんが聖書の「復讐は我にあり(※2)」を引用したトミーに返した讃美歌から派生し有名になった言葉(※1))。

※1 The Lord works in mysterious ways his wonders to perform. 主は神秘的な方法で働かれる驚くべき御業(奇跡)をなすために

18世紀のイギリス人牧師 William Cowper の賛美歌(“God Moves in a Mysterious Way”)から派生した言い回しで、讃美歌の歌詞とは部分的には異なるそうです

歌詞の全文LINK

※2 Vengeance is mine? sayeth-the Lord.

このトミーのは聖書からの引用だそうです(ローマ人への手紙 12章19節(新約聖書))

本来は神が復讐の権利を有するから人間は神に任せよ、という意味の言葉なのにトミーは自分が報復すると言う文脈で誤用してしまっているようですし、エドナ夫人も神になり変わってトミーを罰したのは間違っていたことになります(だからって夫人を殺していいわけではいです)

聖書に関する記述のLINK

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⭐️ジョニー・キャッシュの歌唱シーン

私はミュージカル平気なんですけど、中にはミュージカルが苦手な人もおられます。

でも登場人物が歌唱するシーンが劇中の流れに中に組み込まれているとミュージカル苦手な人でも見られるので、ジョニー・キャッシュがステージで歌手が歌ってるこの話は本物の歌手が本物の歌を歌ってるシーンが含まれており、大変貴重な話とも言えます。

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