ファンに傑作とみなされているエピソード
このエピソードと別れのワインは特に評価の高い作品です。
確かに面白いエピソードですけど皆さんが評価してるポイントってどこなんだろうな?
自分は初見でラストシーンの印象がすごく強いのを覚えています。
あの部分が効いてるのかもしれませんね。
聞いた?話では犯人役のロス・マーティンさんの魅力的な演技や、アート作品をテーマにした芸術性の高さ、そこに脚本のテンポの良さも加わって屈指の名作って扱いみたいです。
私はピーター・フォークさんがコロンボやってて小池朝雄さんが吹き替えやってるとそれだけで嬉しいのでよくわかりません、ほぼ全エピソード好きなので。
事前に知っておくと役に立つこと
「かなくぎりゅう(金釘流)」
コロンボ警部が名画に記載された作者のサインを見ていうセリフにあります。
字が下手という意味の言葉です。
小池さんのこの部分あんまり聞き分けられないんですが多分こうおっしゃってるんじゃないかなあ?
「もち」
当時を知る方にこれ説明すると「そんなの説明するの?」っておお思いになるでしょうけど、最近聞かなくないですか?
なので一応最近の方にご説明しておくと、「勿論」を略した言い方。
トレイシーがデイルに勿論だよという文脈で使う言葉です。
ストーリーの注目点
共犯者は愛人?
トレイシーは愛人?(デイル・キングストンの浮気相手?)
後で個人の遺言に「一家を成した」とあるので劇中役者が演じているシーンはないものの、デイル・キングストンには家族がいて少なく見積もっても奥さんは居るというのが設定だと思います。
となると共犯者のトレイシーは愛人という事になるかと思います。
しかし・・・
原語版ではこの一家を成したというセンテンスはありませんでデイルが家族を持っているという感じの言葉はありません。
日本語訳の方の一家を成したというのはどういう意味なんだろう?
となるとトレイシーは愛人ではなく彼女という事になりますね。
劇中あまりはっきり書かれていない方のデイル犯行動機
日本語版だと叔父さんの絵画を相続したがっていただけだと思われますが英語版だとここがちょっと異なります。
被害者のマシューズさんは遺言にデイルが大学に進学した際の学費も援助したし、その後もマシューズさんの家や財産を自由に使って良いことにしていたらしい文言があります。
だからデイルはマシューズさんに経済的にも依存していたかもしれません。
すでにテレビ番組を持っていてギャラも貰っているわけですから経済的には恵まれた状況にあるものの、叔父さんの家や現金も自由に使いながら将来的には高価なマシューズコレクション(2枚のドガのパステル画を含む絵画コレクション)を相続する想定でいたんでしょう。
かなり欲深い人物像が見え隠れします。
一方のマシューズさんからすればデイルを支援し財産にアクセスすることにも寛容であった一方で、離婚した元奥さんの意見に心を動かされていたようです。
デイルは著名な評論家になり経済的にも成功しているわけでもうマシューズさんの支援は必要かもしれませんが必須ではない。
ならばコレクションはエドナさんのいう通りに寄贈してしまおうと考えたのでしょう。
しかしこれをデイルは認められなかったという事でしょうね。
俳優さんの演技は素晴らしい
画廊の女主人
この女優さんすごいいい演技してます。
残念ながら日本語版だとやり手の女性ビジネスマンだけどちょっと面倒な人って感じですけど、原語版だともっと空気を読んで必死に画家の作品を売り込むために気を配ってる頭のいい女性って感じです。
旦那さんの絵画展に現れた評論家でアリバイ作り真っ最中のデイルを大袈裟に出迎えたかと思うと急に怖い顔になって画家の旦那さんを呼びつける。
吹き替えの方だと絵画展でのデイルは絵画ジョークが大受けしてますが、字幕版の方だとギャグが軽く滑ってる状態で周囲の人も愛想笑い。
デイルも焦って表情が強張ってます。
しかしそこに画廊の女主人が現れるとデイルが「ここでジョーク飛ばしたな?」という場面になると居合わせた人の方を向いて大袈裟に笑い出します。
大袈裟に笑って「さあ笑って笑って」とサインを出したかと思うと大声で笑うものの目が笑ってないという様子を演じて見せます。
ここは字幕で見ないとわかんないとこですね。
デイル
余裕がないんですよねトレイシーが工作中に。
パーティーでシャンパン片手にジョークを飛ばしてるんですが時計見ちゃうし目は笑ってないしジョークも適度に滑ってる、まあこれは脚本の妙でしょうけど、顔が笑ってない笑いきれてないのは俳優さんのお力ですし、この辺は上手いですよね。
余談
エドナさんは猿の惑星に出てた模様
1970年の大ヒット映画「猿の惑星」に出演されてる女優さんみたいです。
原題「Suitable for Framing」に込められた意図?
これ私が気がついたんじゃなくて私の「話し相手」が言ってくれたことなんですがSuitable for Framingって額装に相応しいって感じの英文らしいんです。
これがこの2枚のドガの絵の原題。
そしてSuitableが相応しいとかで、Framingが額装とかの意味。
で、frame-upって言葉もあってこっちは「罪をなすりつける」といった意味だそうです。
デイルがエドナさんに罪をなすりつけてマシューズコレクションの相続人に指定されたエドナさんからデイルが相続権を奪う計画でしたから、この物語はSuitable for frame-up(罪をなすりつけるに相応しい)とデイルが判断したという意味が裏にありそうな感じがするんですよね。
なるほどな。
確かにあり得る話ですよねこれ。
だからタイトル通りだとコロンボ警部補がデイル・キングストンを逮捕するためにはあの2枚のドガの絵に相応しい額装を施しており、額装は額装でまた絵画をどのように際立たせるかを担っている重要な行為ですからコロンボ警部補がここでは見事な額装をなさったわけですね。
他方、デイル・キングストンの当初計画ではフレイムアップを狙っていてこれがコロンボ警部補が登場しなければ崩されずに済んだかもしれないってわけです。
ただ警部補の方が一枚上手だったって事かな。
これ上手いタイトルだなあ。
ジョン・レノンのダブルミーニングっぽい感じもしますね、ちょっと違うけど。