概要
女性という我々男性には不可解な生き物(女性からすると我々男性が不可解で下品な生き物なんですけど)を正面から捉えた作品かもしれないです。
ただもっと重要なことは普通に見れば娯楽作品なんですが、よく見るとすごく凝った難しい作品でもあります。
いやあすごいわこれ。
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あらすじ
コスメ業界で成功した女社長ビベカ・スコットだったがここ最近はヒット作もなく、ライバル企業に追い越されそのライバル会社のデビッド・ラングによればビベカの会社は株価も下落したいた。
しかしビベカ配下の研究員マーチソンがが塗っただけで24時間は小皺が消え副作用もないという新製品の開発に成功し、大逆転となるはずだった。
が、研究員の一人でありビベカの元交際相手でもあった(過去形)カール・レッシングが裏切りその成分に必要な分子式を盗み出しライバルのラングに売ろうとしていた。
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この俳優さんが凄い
今年の三月三一日に俳優のシアン・バーバラ・アレンさんがお亡くなりになったそうです。
これ私は今日知ったんですが調べると訃報がニュースになってました(LINK)。
本作でデイビッド・ラングの秘書シャーリー役でビベカ・スコットの弱みを握って出世しようとしたら殺されちゃった2番目の被害者を演じた方です。
このドラマではこの俳優さんの表情といい雰囲気といい素晴らしいアクセントになってくれた貴重なバイプレイヤーさんでした。
ご冥福をお祈りします。
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この声優さんが良い
裏切り者のカールを演じた声優さんですが、早めに退場となってしまいます。
だって最初の被害者だから・・・。
そのせいか、同じ声優さんがモブ役の声をその後も担当されている気がするのです。
多分これカールさんの声だよなあ?っていう人が出てくるのでそちらも意地悪に注目してみるのも面白いかもしれないです。
ほら、ガンダムで永井一郎さんが30分間に何役もこなしてらしたでしょう?
あれです。
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それって私の感想ですよね(ネタバレ)
俳優さんの再登場

これ同じ俳優さんかなあ?左は本作冒頭で登場する広告の担当者?右は偶像のレクイエム”Requiem for a Falling Star”でファロンさん。
ちなみに右のファロンさんだけは俳優さんのお名前がはっきりしててフランク・コンバースさんだそうです。
なんか・・・似てますよねえ?別人かなあ?他人のそらに?
なんかみた瞬間「あれ?これ撮影所の偉い人じゃないっけ?」って思ったので改めて映像漁った次第です。
この二人を比較するの難しくて、広告担当者さんの方はずっと真面目な顔してるんですが撮影所の偉い人の方は若くして出世した人なんで快活しかも自身に溢れてる感じの表情が多く比較できそうなシーンが少ないんですよ。
そうすると流石俳優さんだけあって別人に見えちゃう。
髪の長さと髪色がライティングの関係か違う色に見えるし、うーん違う人かなあ?
いや、毒のある花の方つまり左の方はどなたか明示されてないんですよね(どっかには記載あるのかな?)
意外に複雑な話でもある
ストーリーは割合ストレートなんでそこじゃないんですがこれ複雑な構成とかセリフがあるんですよね
構成って言ったら変かな?ともかく、この犯人のビベカ・スコットさんはルパン三世カリオストロの城の峰不二子ちゃん状態です
殺害動機もかなりなもので、女として低く観られた事が一番カチンと来てると思うんです
カールさんは元々はビベカさんに捨てられたわけですが分子式を返す代わりにお金とビベカさんを女としてそれそのものを再度提供しろというわけです
カールさんを演じているのは息子さんがチャーリー・シーンなんですがお父さんがジェームズ・ディーンなんじゃないかってくらいの2枚目さんです
ビベカさんもまんざらじゃないご様子で応じようとするんですが、その瞬間カールさんにお断りされるという女としての屈辱を味わうわけです
これってカリオストロ城から逃げ出す時にルパン三世からクラリスと差をつけられた峰不二子ちゃんの状況にそっくりなわけでして(クラリスに該当する女性いないからそっくりじゃねえわ)ビベカさんも峰不二子ちゃんもどっちも美人で男がわんさか寄ってくる人生だったわけです
それをねえ・・・
というわけで動機が女として価値を認められなかったことが最大の犯行動機なんじゃないかなって感じなんですよ
だって殺人自体発作的でしょ?
ビベカさんそのせいかアップで撮る時も目の下の皺を飛ばしてもらってませんしフォギー(殺人処方箋では女優さんにかけてたのに・・・)もかかってません。
そして事件の中心にあるのが「小皺が消える魔法のクリーム」なわけです。
で、ここまでなんですよ・・・
コロンボ警部の憂鬱
ラストで邦訳では最高のスライドでしょって義弟に言えって終わるんですが、これ原語だとなんか適当な言葉を義弟に送っておいてと言われて終わるんですよ
そこでコロンボ警部は両手を軽く広げてやるせない顔になるんですね
なんていうか展開を言語化するのが難しいでしょこれ
LGBTQには厳しい内容
余計なことですがコロンボと刑事が現場検証中に情報量の相違を話し合うシーンがあるんですが、ここでコロンボ警部が白髪のある男性刑事(まあ警察官は結婚生活に向かないなんて描写も他の作品にあるからなんとも言えませんが)に「おまえさん一人もんかい?(結婚してないの?)」と聞くシーンがあります。
まあ既婚、結婚はどうでもいいですが異性交際で生計をともにすると情報量が異性間で共有され増加します。
この差が例えば刑事だと現場検証などで差が生まれるというシーンなんですこれ。
現代だとこれも放送に適さないシーンですね。
カメラそれ?
ポスター撮影にローライフレックスかなんかを使ってるんですけど三脚の上ですっかり傾いてる。
次のカット撮影の際にはぐるっと向きを変えてる。
冒頭でも実験結果をフィルムカメラで撮影してるけど、あれじゃあ撮れない。
まあPCコネクタはローライにあるからいいんだろうけどコスメだしどうだろうなああのカメラ。
二眼レフかっこいいですけどね、スタジオで使うのはどうかなあ?
自分の撮影スタイルだとお金さえあればハッセルブラッドがいいと思います。
あと三脚に固定したらあんなに動かさないですよ、だって決めてるからあそこなんでしょ?
じゃなきゃフリーで撮りなさいよ、写真と捜査は足でするんだぜ?
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LINK
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見どころ(ネタバレ)
直近の回では冒頭の被害者搬送、コロンボ警部と入れ違い、フィアンセとすれ違いと流れる様な場面転換が面白かったですよね。
被害者とフィアンセは左から右へ、コロンボ警部は右から左へと登場しています。
まあコロンボ警部がこの物語率いて進めていくわけですから主役ですしね。
一方で本作はシャーリーとビベカがブティックで駆け引きを行うシーンがたまりません。
シャーリーがビベカに殺人犯はビベカなんじゃないかとカマをかけていくシーンでシャーリーがフーッとタバコをふかします。
タバコの煙がふわっと浮かんでその向こう側でビベカの表情の無い顔にフォーカスが移動して、シャーリーの策謀に巻かれていく展開へと進んでいくわけです。
ここうまいですよねえ。
ただ一個、これは・・・と思うのはシャーリーのタバコがちょっと足りないんですよね、もうちょっともわーっと煙でカメラ前が煙ってくれるともっと良かったのにな。
ただ他のシーンでもシャーリーのタバコの扱いがフレンズのジョーイ(タバコを吸う演技をルームメイトに教わるシーンがある)のようにちょっと慣れてないんですね。
だから煙出すのも大変だったのかもしれないな。
だって俳優さんが喫煙者ではない可能性があるから。
そう思うとあのシーンのシアンさんが可愛く思えてきますね。
すごく意味深な表情を作るのがうまくてクセのある役所を見事に演じきられていた反面、真面目な方だったのかなあって感じですね。
役柄はきついタバコをスパスパ吸ってて喫煙者のコロンボ警部に心配されるほどの秘書役なだけにギャップが大きいなあ。
まあそれが俳優さんですよね。